妊活をはじめるにあたって、女性だけでなく男性パートナーも、どうすれば妊娠するのかをまず正しく理解しておくことが大切です。
くわえて、女性が妊娠しているかも?と身体に思い当たる変化や症状が出た際には、あわてず速やかに検査をしたいもの。
来るべきタイミングに備えるために、妊娠の仕組みと妊娠の検査方法についてご紹介します。
妊娠の仕組み!精子と卵子はどう出会うのか?
通常の性交渉で、男性から射精された精子と女性の体内にある卵子が出会い妊娠するまでの道のりを説明します。
精子の動き ~卵子と出会うまで~
精子の構造
精子は「おたまじゃくし」に例えられるように、大きくは頭にみえる部分と素早く動く尾の部分にわかれています。
細かくみると、細胞核を含んだ頭部や頸部と、精子が活動するためのエネルギーを蓄えた中部、精子が運動するための鞭毛(べんもう)を有した尾部から構成されます。
正常な精子の基準とは
正常な男性の精子は、「1回の射精で2ml以上」とされており、「1mlの中に2000万匹精子が存在する状態」で「運動している精子が50%以上である」と言われています。
通常、精子が進むスピードは1分間に2㎜から3㎜程度です。妊娠が成立するために、精子は子宮内を進むのですが、この道のりは精子にとっては長いものです。
女性の膣から子宮口、子宮頸管を通り、卵管にいたり、ようやく卵子に到達します。ただし、子宮内は精子が生存しにくい環境となっているため、正常な精子であっても卵子までたどり着けるのはわずかな数です。
卵子の動き ~排卵について~
卵胞と卵子について
よく間違いやすいのが、われわれがエコーで見る丸い映像は、じつは卵子ではなく卵胞(らんぽう)なんです。エコーで卵子を見ることはできませんので、ご注意ください。
卵胞は卵子をつつむ袋のようなもので、卵胞のなかに卵子が入っているという構造になっています。卵胞は卵巣に入っています。
排卵とは
「排卵」とは卵子が卵胞から外に出て、さらに卵巣の外に出ることをいいます。
卵巣の中では、たくさんの卵胞が育っていますが、排卵のタイミングにもっとも排卵に適した成長状態の卵胞が卵子を出します。
なお、正常な女性の排卵は、月に1回程度(28日に1回程度)とされていますが、実際は人によって異なります。
排卵された卵子は、卵管にある卵管采というラッパ状の器官にキャッチされ、腹腔側に近い卵管内の膨らんだ部分で精子を待ち受けることになります。
受精 ~精子と卵子の出会い~
1回の射精で膣内に入った1億~3億個の精子のなかで、卵子に到達できるのは、200個以下※といわれています。
卵子の透明幕を1つの精子が突き破り、内部にはいります。これが受精です。
なお、受精した瞬間から、ほかの精子は卵子の中へは入れないようになります。
受精卵になった後の動き ~着床~
受精卵は4日から6日間かけて細胞分裂を繰り返しながら、卵管から子宮内に入り、ふわふわと浮いた状態で着床の時を待ちます。タイミングよく子宮内膜にもぐりこめると、着床し妊娠が成立するのです。
受精してから子宮内膜へ着床するまでには大体1週間程度の時間がかかります。妊娠すれば最終月経から約280日をかけ成長し、出産へと進みます。
妊娠することを予測して子宮内膜はふかふかのベッドのような状態で卵子が飛び込んでくるのを待ち受けています。それにもかかわらず、妊娠しない場合は子宮内膜は剥がれ落ち、血液と共に体外に排出される「月経」が起こります。
妊娠成立後の症状!産婦人科?妊娠検査薬?
妊娠成立後の症状とは?
月経(生理)周期が順調な女性の場合、月経予定日から1週間程度過ぎても生理が始まらなければ、妊娠の可能性が高いとされています。
月経がなくなること以外にも、吐き気や胸焼けなどのつわり症状、熱っぽくてだるい、眠気を感じるといった変化も妊娠のサインです。
また、少量の出血や下腹部の痛み、胸の張りなどの症状を訴える人もいます。
こうした兆候が見られたら、市販の妊娠検査薬で確認するか、婦人科を受診するのが一般的です。
妊娠検査薬について
市販の妊娠検査薬は月経予定日の1週間後から検査できるものが多いです。妊娠した時に分泌される「hCG」というホルモンが尿内に含まれているかどうかで判定する仕組みとなっています。妊娠検査薬は薬局やドラッグストア、またインターネットでも購入できます。
「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」とは、受精卵が子宮内膜に着床し妊娠が成立すると少しずつ分泌されるホルモンで、月経予定日を過ぎると一気に分泌が多くなる性質を持っています。そのため、一般的には月経予定日を過ぎてからでないと、妊娠の有無をきちんと判定できないのです。
また、hCGの分泌量がわずかな場合には陰性(非妊娠)の結果がでるなど、ただしく判定できない場合があります。そのため、月経予定日の当日すぐではなく、1週間程度経過してから検査する方が正確な検査結果が出るといわれています。
婦人科の受診と検査について
もしかして妊娠では?と思い、病院にいこうとしたときに、「産科」に行くのか「婦人科」に行くのか、「産婦人科」に行くのか迷う方もいらっしゃるでしょう。
一般的には、婦人科で妊娠が確認できてから、妊婦検診などをおこなうために「産科」や「産婦人科」に通うことが多いと思われます。
ですから、まずは婦人科を受診することがお勧めです。たとえ妊娠していなくても、生理周期の遅れの原因などについても相談できるはずです。
なお、妊娠確定のためには、さまざまな検査をおこなったうえで、医師が総合的に判断します。
くれぐれも妊娠検査薬だけで勝手に判断したりしないようにしましょう。
また、妊娠検査薬で陽性が出て、すぐに病院に行っても妊娠4週目ぐらいでは、「経膣超音波検査」で胎嚢が確認できないケースもあります。そのため、医療機関で検査を受ける場合なら、月経予定日から1週間以上経過してから病院に行くのがおすすめです。
なお、胎嚢は直径が2mm以上になると超音波検査で確認することが可能になります。一般的には、妊娠4週間で約80%、5週間で100%の確率で、子宮内に胎嚢が確認可能といわれています。
健康的な妊娠生活を送るためには準備が必要
妊娠は精子と卵子が出会い受精卵となり着床するまでに多くの障壁を乗り越えた先に成立します。妊娠成立後は出産まで約280日と長い間、母親のお腹の中でゆっくりと赤ちゃんが成長していきます。そのため、妊娠にいち早く気付き、母親の体のケアを行い、出産に向けて環境を整えていくことが重要です。