子どもを希望するカップルに不妊症の疑いがあった場合、検査を受けて必要であれば不妊治療を行います。不妊治療は医療機関によって様々で、仕事に深く影響する場合もあれば、支障を最小限に考えながら治療できる場合もあります。
本記事では妊活と仕事を両立することはできるのか、また両立したいと考えているカップルはどのくらいいるのか紹介していきます。
仕事と妊活を両立したいと考えている人は多い
妊活する上で仕事と妊活の両立を考えている人は多く、厚生労働省の「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査研究事業」の調査結果報告書本編によると、治療予定者の76%が両立を考えています。また、不妊の治療と仕事を両立するために、雇用形態の変更を考えている人も12%いるため、両方を希望している人は不妊治療を予定している方のうち、90%近くいるという結果が出ています。
近頃は、妊活について前向きに捉えている企業も少しずつではありますが増加傾向にあり、仕事との両立が可能と考える人が多くなっているのでしょう。妊活の中で不妊治療が必要となれば、治療費用も高額になるケースがあります。仕事を継続しながら妊活ができれば、経済的にも安定した上での妊活を考えることができます。
仕事と妊活を両立している人も多い
実際に不妊治療を行っている方や不妊治療を経験した方を対象とした「仕事と不妊治療の両立状況」の調査結果によると、両立している人が53%、両立できずに仕事を辞めた人が16%という結果が出ています。また、妊活と仕事とを並行できずに雇用形態など、働き方自体を変えたという人は11%います。そのほかには、両立に疲れてしまって仕事も不妊治療も辞めたという人もいます。
現在は不妊の治療を行いながら仕事を継続している人が約5割を超えているように妊活をしながら仕事をこなすのも可能であることがわかります。妊活について前向きに捉える企業がさらに多くなれば、より一層妊活と仕事の両立がしやすい環境になるのではないでしょうか。
不妊治療と仕事の両立は通院の時間が取れるかが鍵
妊活と仕事の両立を考える上で重要となるのは、通院時間を取れるかどうかです。厚生労働省のデータ「仕事と治療の両立が難しいと感じる内容(両立中・両立経験者)」を見ると、最も多い意見が「通院回数が多い」となっています。通院回数が多くなると、遅刻や早退、中抜けなどが多くなり、一緒に仕事をしている同僚に迷惑をかけると考える方も多いでしょう。
もちろん、通院回数が多くなればその分費用もかかります。経済的な負担が増える上で妊活中であることや不妊治療を行っていることをオープンにする際、精神的な負担を感じるという人も少なくないようです。
女性も男性も責任のある仕事を任されていれば、仕事の日程調整も難しくなります。どうしても外せない仕事が通院日にいきなり入ってきた・・と悩む人もいて、結局ストレスになって不妊治療に影響することを心配される方もいます。
しかし、通院回数などは医療機関によっても異なりますし、仕事と両立できるように考えてくれるクリニックなどもあります。不妊治療に利用する医療機関を選ぶ際は働くことに配慮があるかどうかをいくつかの医療機関に通って確認してから決めてもいいでしょう。
不妊治療のための制度を導入している企業はまだまだ少ない
不妊治療など妊活を行うための制度を導入している企業は、少しずつ増加しているようですが、まだまだ少ないのが現状です。厚生労働省が調査した不妊治療のための制度導入数の図を見ても、不妊治療のための休暇制度がある企業は調査対象とした377企業のうち、48企業にとどまっています。不妊治療に係る費用等を助成する制度は15企業、不妊治療のために勤務時間等の柔軟性を高める制度に至っては、たった5企業だけが導入している状態です。
「不妊治療に特化した制度はない」という企業は306企業ですから、現段階で不妊治療に前向きな制度を導入している企業はかなり少ないと言えます。その中で妊活と仕事を両立させるとなると、治療回数が多くなればなるほど、辛い状況になることも考えられます。
妊活と仕事の両立を望む声は増加している
冒頭で紹介しました「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査研究事業」によると不妊治療と仕事の両立を望む割合は90%近くという結果が出ています。しかし、不妊治療を受診しているほとんどの人が仕事との両立を望む中、不妊治療に特化した制度がある企業はまだまだ少ないのが現状です。
また不妊治療と仕事を両立させるには、通院時間が確保できるかも大切な要素です。治療によっては通院回数も多くなり費用を高額になる場合があります。中には、医療機関によっては仕事との両立をしやすいように考慮してくれる場所もあるようです。
妊活と仕事の両立を考えているのであれば、働いている職場に不妊治療に特化した制度があるのは調査したり、両立を考慮してくれる医療機関を探すことをおすすめします。