妊婦にとっては、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)が子宮内感染するのか気になってしょうがないですよね。
ここでは、2020年6月現在の情報から新型コロナが胎児に感染するかどうか紹介します。
新型コロナが子宮内感染した例は中国武漢とカナダで報告されている
妊婦が新型コロナに感染し、胎内にいる胎児に感染したとされる例は、日本産婦人科感染症学会の資料*によると中国武漢の3例が報告されています(この記事の執筆時である2020年4月22日時点)。
簡単にポイントをまとめますと、以下のようになります。
- 新型コロナに感染した妊婦33例のうち、3例に子宮内感染が認められた。
- この3例の胎児はいずれも救命できた。
- この3例のうち1例においては、31 週早産(母体肺炎で緊急帝王切開)で胎児に重篤な肺炎と敗血症が見られた。
- 生後2日目と4日目にSARS-CoV-2(編集部注:新型コロナウイルスの名称。COVID-19は感染症の名称)で陽性であり、7日目に陰性でした。
また、上記とは違う症例だと思われますが、以下のような情報もあります。
- 中国武漢で、妊娠末期に帝王切開した6例のうち2例で子宮内感染のときに検出されるIgM抗体が陽性であった。
また、別の論文では、下記のような情報もあります。
武漢市で妊娠後期に COVID-19 に感染した妊婦 9 例の帝王切開を行い,全員から生児を得た.
<2020年6月16日追記>
Forbes Japanによると、カナダの医師が新型コロナウイルス感染症の検査で陽性が出た新生児が子宮内で感染した可能性が高いと発表したと報じています。
先天性の感染であると考えられる理由としては、帝王切開であること、膜が傷ついていなかったこと、検体採取前に母親と身体を触れていなかったこと、としています。
なお、幸いなことに出産後30日の経過観察後も母子ともに健在であったと報告されています。
現時点では、子宮内感染する可能性があることだけがわかっている
先ほどの中国武漢で子宮内感染が確認された例や、 IgM 抗体が検出されたという報告があるため、子宮内感染が生じている可能性があると日本産婦人科学会はしています*。
またSARSやMERSなどが流行した時に、「一定の確率で流早産や胎児発育不全,母体死亡の報告がある」として、妊婦が新型コロナに感染すると同様の可能性あることから、感染防止に努めるよう注意喚起をしています。
継続して情報収集が必要
妊婦の方もパートナーも、そして不妊治療の中止を余儀なくされている方々も不安な情勢だと思われます。
日々ニュースなどのチェックをするとともに、厚生労働省をはじめ自分たちが住んでいる自治体にくわえて、以下のような産婦人科に関連した学会のサイトなどもチェックされることをお勧めします。
なおこの記事も定期的にアップデートしていきます。
<リンク>
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」