妊活・不妊治療にはいろいろな手段がありますが最もポピュラーなものとしてタイミング法があります。
タイミング法の基本にくわえ、タイミング法に重要な排卵日を知る方法などを解説していきます。
妊活のタイミング法とは
妊活・不妊治療におけるタイミング法とは、自然妊娠するために「もっとも妊娠しやすいタイミングにカップルで性交すること」です。
もっとも妊娠しやすい性交のタイミングは、女性の排卵日の2日前とされ、次に排卵日前日といわれています。
妊活のタイミング法がおすすめなのはどんなカップル?
タイミング法は、もっとも自然に妊娠を目指す方法ですので、妊活をこれから始めようというカップルにおすすめです。
費用も少なくてすみますし、不妊治療のなかでは第一段階ともいえるものなので、不安も少なく取り組むことができます。
ただし、タイミング法における自然妊娠は男女ともに不妊症ではないことが大前提です。タイミング法をはじめるまえに、かならずカップルで不妊検査を受けるようにしましょう
不妊検査の費用について
妊活をはじめるにあたっての不妊検査の内容は、クリニックによってさまざまです。たとえばブライダルチェックという名称だと数万円するのが男女とも相場です。
しかし、男性であれば精液検査だと5000円ほどで可能ですし、女性も保険適用の範囲内であれば数千円から、保険適用外の検査を追加しても1万円ぐらいで収まることも。
妊娠しやすいタイミングとは
もっとも妊娠しやすいタイミングは、排卵予定日の2日前といわれています。
というのも、卵子の寿命は1日、精子の寿命は女性の体内で数日長くて7日くらい(諸説あります)とされており、この寿命の差をいかすのがポイント。卵管のなかで精子が卵子の出現(=排卵)を待つことで、精子と卵子が出会いやすく妊娠しやすくなるというわけです。
また、排卵日は個人差や体調などによって変わるため、正確な予測がむずかしく、性交のタイミングを計ったとしても、排卵と同時に精子が出会うのはやや難しいといえます。
ですから、精子が卵子を待つという状態をつくるために、排卵日の2日前のタイミングに性交することがいいとされているのです。
なお、不妊の原因がない男女だと1回の周期で妊娠する確率は、およそ20~25%といわれており、この確率でいけば、4~5周期で妊娠が成立することになります。
タイミング法をおこなうために排卵日を調べる
タイミング法を試したくても生理不順で排卵日を予測できないという人もいるでしょうし、自分の排卵日は?と聞かれて、すぐに正確に答えられる女性も多くはないでしょう。
ここでは、排卵日のおさらいと、排卵日を知るための方法をご紹介します。
排卵日とは
女性の体内にある卵巣では、たくさんの卵胞が育っていて、排卵のタイミングにもっとも適した成長状態の卵胞が卵子を1つ出します。これが排卵です。おおよそ1カ月に1回の排卵があるといわれています。
なお、排卵から月経までは、約2週間とされていますが、実際はひとにより異なります。
排卵日を知る方法【1】医療機関での検査によるタイミング療法
妊活をはじめるにあたって、不妊症検査を受けた医療機関でタイミング療法を受けてみるのがおすすめです。
月経後10日ほどに受診し、卵胞の状態を経腟超音波検査や血液・ホルモン検査、子宮頸管粘液の性状などの結果から総合的に判断して排卵日を予測します。
なお、排卵障害や黄体機能不全が見つかっている場合には、クロミッドなどの排卵誘発剤を用いた、次の段階のタイミング療法へのステップアップもあります。
どのようにタイミング法を続けるかは、お医者さんと相談することになります。
排卵日を知る方法【2】基礎体温表をつける
妊娠を希望する場合に特に重要となってくるのが基礎体温表です。生理が常に定期的で生理の日程から大体の排卵日を予測できる人もいますが、これはあくまでも大体の排卵日に過ぎません。
生理不順の女性は生理の日程からでは予測は難しいため、基礎体温表を作り基礎体温の状態から排卵日を予測するという方法があります。
基礎体温を付けていると生理が終わり基礎体温が緩やかに下降し、その後高温期に入る直前、一時的に体温が急激に下がるときがあります。
体温がガクッと急激に下がった日、もしくはその翌日くらいに排卵があるとされています。ただし、そのときの体調によって体温も変化するため、基礎体温表はあくまでも目安として捉えておきましょう。
排卵日を知る方法【3】排卵日検査薬を使う
出典
妊娠しているかを知る妊娠検査薬と同じように、尿によって排卵日を予測する検査薬があります。
排卵日検査薬や排卵日テスターと呼ばれているもので、一般で市販されているのでドラッグストアや薬局、インターネット通販でも購入が可能となっています。
この検査薬は尿の中に存在する黄体ホルモンの濃度によって排卵日かどうかを検査します。ただし、この検査は尿の濃度の影響を受ける可能性があるため基礎体温表などの排卵日を予想する別な方法と合わせて使う方がいいでしょう。
排卵日を知る方法【4】子宮頚管粘膜セルフチェック
出典
子宮粘膜は子宮に病原体が入り込まないように防御する役割を持つ粘膜で、排卵日近くになると精子を向かい入れるために粘性が高くなります。
粘液が途中で切れずすっと糸を引くような状態になり、一般的には5㎝から10㎝くらいまで切れずに伸びるようになるといわれています。
ただし、この子宮頚管粘膜の粘性も個人差があり排卵日に粘性が高くなるといっても、排卵日と確定はできません。
基礎体温表や生理日による予測などで排卵日が近くなったら、自分で何度も粘性を確かめて「自分の子宮粘膜が排卵日にどのような変化をするのか」理解しておくことも大切です。
排卵日を知る方法【5】排卵日予測アプリを使う
2020年4月現在、生理周期を管理したり排卵日を予測してくれるスマホのアプリがいくつもあります。
簡単な入力項目に答えるだけのものや、毎日の基礎体温を入力するものなどアプリによって使い勝手が異なります。
お使いのスマホがiPhoneならApp storeで、AndroidならGoogle Playで「排卵日」と検索してみましょう。
妊活のタイミング法に関する噂と真実
妊活にタイミング法を取り入れて妊娠を望む際に色々な噂を耳にします。「排卵日以外に性交を行なっても意味がない」とか「朝性交すると妊娠しやすいらしい」といった噂です。
これらの噂は本当なのでしょうか?
Q.排卵日以外の性交に意味がない?
いいえ。排卵日の前に性交を行えば妊娠の可能性が高くなりますので、排卵日当日である必要はありません。
くわえて、妊活にとっては排卵日以外の性交にも好影響があると考えられています。性交によって子宮内膜に精液が入ると着床する際に受精卵が異物として認識しないように予防できるといわれています。
つまり、排卵日以外にも定期的に性交を行えば排卵日前後の性交で着床しやすくなる可能性があるようです。
Q.朝の性交は妊娠しやすいって本当?
うそです。妊娠したいなら朝に性交をする方がいいらしいという話もよく聞きます。しかし医学的に証明されているのではなく朝に性交をする方が妊娠しやすいというのもあくまで噂です。
Q.男性が禁欲したほうが妊娠しやすい?
うそです。タイミング法を続けているカップルの中には排卵日に「より濃度の濃い精子を作らなければ…」といった理由で禁欲期間を設け、排卵日以外性交はしないというカップルもいるようです。
しかし、性交の頻度が多くなると精子濃度が薄くなるというのもあくまでも噂であり、禁欲期間を設ける方が精子濃度が濃くなるわけではないようです。
逆に古くなった精子は運動率が低下するといわれているので、禁欲期間など関係なくあくまで2人が良好な関係でストレスなく行える頻度で性交するようにしましょう。
Q.体位は妊娠率に影響する?
いいえ。「妊娠しやすい体位がある」や「体位によって生まれてくる赤ちゃんの性別に影響する」という噂も聞きます。
しかし、これもまた単なる噂に過ぎず体位によって妊娠しやすいとか、女の子や男の子の産み分けができるわけではありません。
対して体位にこだわりストレスを感じながら性交をする方が緊張して射精できない…といった状態になってしまい、タイミングを逃してしまうかもしれません。体位などは特に考えずリラックスして性交を行いましょう。
Q.保険適用外になるタイミング法があるって本当?
はい、本当です。タイミング法は基本的には保険適用できますが、検査の回数やほかの治療が増えたときには、保険のカバー範囲外になることがあります。
費用が心配な場合は、パートナーと一緒にお医者さんと治療内容の相談をしましょう。
【参考】保険適用になる不妊治療
女性不妊に対する治療
- タイミング指導、黄体ホルモン補充療法など
- 無排卵や多嚢胞性卵巣などの排卵障害に対する薬物療法(内服、注射)
- 子宮・卵管等に原因が考えられる場合に行う子宮鏡、腹腔鏡による精査・加療
- 卵管通過障害に対する通気・通水法
- 卵管形成術
男性不妊に対する治療
- 薬物療法(漢方等)
- 手術療法(精索静脈瘤、閉塞性無精子症等)
タイミング法で妊活カップルがつまづきやすいポイント
タイミング法を続けているカップルは、排卵日周辺に性交をしなければいけないと強い義務感を持つことがどうしても増えてしまうようです。
こうしたことがストレスやプレッシャーが要因となって、男性であればED、女性であれば「濡れない」という症状が出て、性交に支障をきたす可能性があります。
タイミング法を成功させるために普段から性交を増やそう
妊活でタイミング法を続けているカップルの中には、排卵日以外は禁欲が必要だと考える人も多いようです。
しかし、実際は特定のタイミングに限らず、普段から性交の頻度を週3ぐらいにしていると、女性の体内につねに精子が存在する状態になるため、妊娠の確率が上昇するといわれています。
排卵日を強く意識するあまり、タイミングにこだわりすぎず、普段からパートナーと性交の回数を増やし、妊娠しやすい状況を作ることが大切です。